研究開発戦略は「分析」だけでなく「意思」から始まる


研究開発戦略を考えることになった背景

研究開発の戦略を策定することになり、改めて難しさを感じたのは「何を根拠に方向性を決めるのか」という点でした。
製品設計やメーカー技術の領域では、技術動向、市場環境、顧客ニーズ、社内の開発資源など、考慮すべき要素が多くあります。

そのため、できるだけ客観的な分析に基づいて、関係者が納得できる戦略をつくりたいと考えていました。

客観分析を重視する一方で見えた課題

一方で、アドバイザーの先生との対話の中で自分自身の課題も見えてきました。
私はもともと、データや事実をもとに考えることを重視するタイプです。分析結果を整理したり、合理的に説明したりすることには比較的なじみがあります。

しかし、「自分たちはこの研究開発で何を実現したいのか」「どの方向に進みたいのか」といった主観的な意思を示すことはあまり得意ではありませんでした。自分にやりたいことが明確になく、それをもとにリーダーシップを発揮してテーマを推進することもできない。
戦略は、客観的な分析から自然に導かれるものだと思っていた部分もあります。

意思を示し、分析で整合性を確認する

先生からのアドバイスで学んだのは、研究開発戦略では、まず自分たちの意思を明確に伝えることが重要だということです。

そのうえで、客観的な分析を行い、最初に示した意思と整合しているかを確認する。
つまり、分析は意思の代わりになるものではなく、意思を検証し、補強し、必要に応じて修正するためのものだと理解しました。

クラスタリングから得られる新しい気づき

客観分析の手法として、特に印象に残ったのがクラスタリングです。
ソリューションや要素技術などを機械的に分類することで、人の思い込みだけでは見落としていたまとまりや関係性が見えてきます。

特に、戦略上は重要であるにもかかわらず、これまで十分に認識できていなかった領域に気づける点は大きな価値だと感じました。
分析は、知っていることを確認するだけでなく、まだ見えていない論点を発見するためにも有効だと実感しました。

外部環境分析は構造的に示すことが重要

外部環境分析についても、単にPESTなどのフレームワークを使って項目を埋めるだけでは不十分だと感じました。
政治、経済、社会、技術といった要素がどのようにつながり、自社の研究開発テーマにどのような影響を与えるのかを、構造的に理解して示すことが重要です。

構造が整理されていれば、課題設定もより正確になります。
また、外部分析は戦略資料の冒頭に置かれることが多いため、ここで矛盾や粗さがあると、その後の仮説や施策全体の信頼性にも影響します。最初の分析こそ、丁寧に作り込む必要があると感じました。

今後に活かしたいこと

今回の経験を通じて、研究開発戦略は「客観的に正しい分析」だけで成立するものではないと学びました。
まず意思を示し、その意思を分析によって磨き込む。この往復によって、実務者にも説明しやすく、関係者が納得しやすい戦略に近づいていくのだと思います。

今後は、分析の精度を高めるだけでなく、戦略の出発点となる意思を明確にすることも意識して取り組んでいきたいです。


まとめ

研究開発戦略を策定するうえでは、データやフレームワークによる客観分析が欠かせません。
しかし、それだけでは方向性は定まりません。

まず「何を実現したいのか」という意思を示し、そのうえでクラスタリング等の客観的な分析を使って、意思と現実の整合性を確認することが重要です。
分析と意思を行き来しながら、納得感のある戦略へと磨き込んでいく姿勢を大切にしたいと思います。

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